開発・技術戦略リーダー養成コース 講師インタビュー |(株)日本能率協会コンサルティング 細矢 泰弘氏 その2

(株)日本能率協会コンサルティング 技術戦略センター
シニア・コンサルタント
細矢 泰弘

開発リーダーと経営との間にあるギャップとは?

森宮
実際にこの開発・技術戦略リーダー養成コース参加者は、年齢が20代後半から30代、それぐらいで若いですよね。そのような若い方々とトップの意向に乖離があったりする場合って結構あるような気がしますが。

細矢
かなりあると思いますよね。

おそらく経営者も、自分以外に任せて新しいアイデアなどに人、もの、金、情報を託すっていうことが重要ではないかと。その際、話し合いは必要だと思います。経営とリーダーのなかで、話し合いは大事です。しかしそこで、きちんと託して任せていくことが大切です。ギャップはあると思いますが。

森宮
具体的にどんなギャップがありますか?

細矢
CEOといったトップの立場にある方は、ソフトのことに不明の人もいるかもしれません。例えばディープラーニングやAIのことなどですが。

概念や言語も色々な情報が出てきている中で、ひょっとしたら経営と現場で会話にならないかもしれません。もちろん勉強されている方も結構多いと思いますけど。価値観も違う場合も多いです。

悩んでいるリーダーへの2つのアドバイスとは?

森宮
お話を伺っていて思うのですが、若い方だとそのあたりの情報の吸収力がすごいのではと思う一方、翻って自社内で事業化とか新規開発のテーマを掲げるとしても、なかなか理解されないケースもあるかもしれません。

だけど、そこを、言葉を尽くして説得して動かしていかなきゃいけない、リーダーシップってそういうことだとは思うのですけども、そこの辛さというか大変さっていうこととかは、なんとなく実感されたりはしますか?

細矢
土壌ができている会社と土壌ができていない会社があるということだと思います。

部長や課長層に、一定の理解があって、新しいことへのチャレンジを支援するような土壌があれば、若い人たちもやりやすいし、例えばこの開発・技術戦略リーダー養成コースにも、自らの決断で参加する、というそういう方がたまにいるんですよね。

逆に、組織内でそのような土壌がないから、部課長や役員クラスを自ら説得して参加される人もいます。

森宮
そのような自身の力だけでではどうにもならないことで悩んでいる人に対して、細矢さんはどのような言葉をかけますか?

細矢
2つあります。 辞めて他に行ったらどうかという話と、一回はその会社の改革のために頑張れという話です。もちろん状況によります。大企業、オーナー企業いろいろありますからね。

オーナー系企業だとオーナーのポリシーがあって、番頭のような人が組織を動かしていたりなんかしますので、番頭とオーナーのコンビが、若くてやる気のある人に対して理解があれば、社内で改革を推進できる土壌があるということになります。そうでない場合は厳しいですよね。

森宮
結構現実的なことですよね。

細矢
そのようなことでうまくいかないのは、時間がもったいないですよね。最近の事例であったのは、ある会社で、社内で粛々と改革を進めて新しい動きを進めていたのに、外資に会社ごと買われてしまい、それまでの改革の風土が崩れて、理解を示してくれた部長クラスが全員左遷されている、そういう会社もあるわけです。そのような現実が実際にあるのです。

若い子達ほど組織をよく見ているし、組織の上層部を見ています。将来を見据えているから、ダメだと思ったら今はどんどん居場所を変えていっています。今がそういう時代なのだと思います。ひとつの組織にずっと長くいる時代ではありません。

開発技術が取り入れるべきグローバルとは?

森宮
開発技術の分野は、プロセスのなかでは結構上流部分という感じがします。そこに新しい空気というか血が入っていかないと、かなり澱んでしまうのかなという気がします。

細矢
常に新しいものを取り入れるように、イノベーションを事業のなかに入れていくというのが大事ですよね。AIの話でもグローバルの話でも。

森宮
グローバルのテーマというのがすごく根が深いですね。来年からグローバル化します、というふうに変われるものではなくて、会社の歴史や伝承技術、領域があり、そこを守って継承していたものがあります。しかし、それだけではもう生き残れないとなり、急き立てられるように日本の外に出てみるというようなこともあるかもしれません。振り回されるのは現場です。

細矢
今、アフリカを研究している部下がいまして、彼のプロジェクトを応援しています。

アフリカでどうコンサルティングできるのか、見当つかないところもあるけど、そこに想いがあって、現地で会社を作っていたりするので、その土地に縁があったり想いがある子達じゃないとうまくいきませんね。行かされたから行くっていうのは、多分難しいっていう感じがしますね。

森宮
グローバルに、かつ新しいものを立ち上げていくという、これからそういう仕事が増えていく、そういうふうにならざるをえないとなってきていますね。かなり若い時期の原体験のようなものが、マインドセットが、そもそもあまり抵抗ないとか。

細矢
JMACの北京に事務所が以前あったのですけど、駐在していたコンサルタントの一人が自分の子供を、中高通して北京の学校に行かせていました。

親達はとっくに帰国してしまったのですが、子ども2人が北京でお手伝いさんと暮らしていて、帰国子女の入学枠で日本の大学に入学して、1人の子は自動車関連のメーカーで勤務した後、現在は独立して友人たちと中国ビジネスをやっています。もっとスタンスを広くして、色々な人と協業してやっていく時代じゃないですかね。

異空間に行くことの重要性とは?

森宮
冒頭のお話で、外部から引き抜かれて日本企業の組織のなかで新しいことを期待される役割の若い人も増えてきているというお話をしました。一方で、就活で入ってきて、当初からマインドが組織の人間で、という若い人も実際いるわけです。そのような人達も、これから会社組織の外の人達と協業しながら新しいものを起こしていくことが求められています。好奇心を持てとか、リスクを恐れるな、と言われながらも、チャレンジする姿勢が強く求められています。

細矢
新しい発想をなどと言われていますが、そのような場合、私は「異空間に行け」とよく言います。既存とは違った空間に出てみなさいと。オープンイノベーションなどがそうだと思うんですけど、色々な人達と話したりすることが重要ですよね。10年・15年と同じ会社にいると、みんな似たような価値観に染まってしまって同じ考えに陥りがちです。

そうならないためにも、地元に帰ったら自治会をやるとか、旅に出るとか色々方法はあると思います。

本を読むとか映画を観るということもそれに当てはまるかもしれません。どんなところにいようと、異空間に行く努力をすれば、視野を広げる機会はたくさんあると思います。

旅も効果的だと思います。

森宮
異空間っていう話は興味深いです。質問内容として、変化の激しい外部環境への向き合い方が問われているのですよね。座っていても新しい情報入ってこない、だけど日常の仕事が忙しい、一方で上司からは成果を求められる、ちょっと変わったことを言えば突き返される….相対するものがいろいろあるなかで、これだっていうものを自分で見つけ出していかなければなりません。

細矢
信念というかMy Believeですよね。確信といいますか、価値ともいえるような。仕事において、それを持つのと持たないのでは大きい違いです。異空間のなかで、自身のゆるぎない感覚を培うことは強みになります。

開発技術に携わる人にとって大切なこととは?

森宮
チャンスにかけて、でも失敗したら、古い言い方だと2~3年冷や飯食わされるとかよく言われます。

開発技術に携わる人間は、技術や専門分野のみの狭い視点だけではなくて、周囲の人を巻き込み、時には説得し、必要なお金も調達しなくてはいけない、そしてまた新しい技術を探さなくてはいけない、リスクヘッジもしなきゃいけないみたいな大変な役割を担わなくてはいけません。そのことをプロデューサー型人材と、細矢さんは講義の中で読んでいるそうですが。

細矢
最後はパッションってよくいっています。結局何人かアントレプレナーの人達と一緒に仕事をしてきましたけど、結果的にそういうパッションを持った人たちが残りますよね。そのような人はある意味異端児かもしれません。スピード感もぜんぜん違います。1人孤軍奮闘していることも多いです。

それでも新しいことを立ち上げようとしている方は結構あちこちにいますよね。辞めないで頑張っている。おそらく組織内で守ってくれる人がいると思うんですよ。役員クラスで、常務専務ぐらいで守ってくれる人がいないと潰れちゃうんでね。サラリーマンだって梯子はずされることもあるので、組織内でのパトロンはやっぱり必要です。そこはすごく重要ですよね。

森宮
あなたは孤独ではない、というようなメッセージを送るとしたら?

細矢
折れないように。
それだけです。

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