R&Dイノベーションリーダー交流フォーラム パナソニック 加藤氏 1/3

パナソニック株式会社 IS社
エナジー事業開発センター エナジー事業開発1部 部長 加藤 正樹

現在の仕事内容は?

──加藤さんは現在、リチウムイオン電池、プロトタイプなども含めて研究開発をされているということですが、まず経歴からお伺いしたいと思います。
パナソニックさんで入社からずっと電池をご担当されているのですか。

私がリチウムイオン電池に関わるようになったのは3年前からです。
それまでは電気設備の担当でした。太陽電池や鉛蓄電池やリチウムイオン電池など、電池を使う側の立場でした。
パワーエレクトロニクスという技術分野で電池を使う外野側だったのですが、電池の本丸のほうがもっと面白いことができるだろうと思っていたところ、縁があってリチウムイオン電池そのものの事業部門に移りました。最初はイオン電池やイオン電池を使ったパックやモジュールなどのシステムを開発する研究開発部門に所属しました。

ご存じかと思いますが、リチウムイオン電池は正しく使わないと安全不安があるデバイスで、安全に使うための電池管理(回路やソフト)が必要です。バッテリーマネジメントシステムなどと呼ばれ、これは自動車であってもPCであっても携帯電話であっても付いている機構なのですが、そういった分野での開発に携わりました。EVや発蓄電システムと組み合わせて使うものなどでの取り組みをしていました。データセンターでも電池がたくさん使われていて、そちら向けにお使いいただけるような製品の要素技術を開発する部門に1年半ぐらいいました。

その後、技術の出口となるビジネスを開発する事業開発センターに移り、電池および周辺技術の用途開発を推進しています。つまり、現在は技術開発ではなく、ビジネス開発に属しています。

まさに、お客さまにどのように新しい価値を提供するかに向き合う仕事なので、今回参加したR&Dイノベーションリーダー交流フォーラムは自分にとってピッタリの内容でした。

フォーラムに参加して感じた印象とは?

──プログラムを知って、参加するきっかけになったのはどんなことでしたか。

私は、全くフォーラムのことを知らなかったのですが、ある日机上にパンフレットが置いてありました。当時のセンター長が置いたようです。

──そっと置いたのですね。

お客様への新しい価値提供についてお前はわかっていない、学びが必要である、というメッセージと受け止め、受講申し込みしました。

──ご自分のミッションと合致する部分があったことも、ご参加を後押ししたのでしょうか。

受講してから自分が学ぶべき内容にピッタリだと感じましたが、受講前はフォーラムについてほとんど内容が分からないままでした。いろいろな会社さんが来られるということなので、人材交流ができれば良いかなぐらいのつもりでした。ですので、研修の中身に対する受講前の期待というのは、正直特にありませんでした。

──実際に参加されてみて、いかがでしたか。

非常に良かったです。ただ、受講するにはもう少し若い方がよかったのかなという気もしました。参加メンバーは係長・課長クラスが中心でしたが、こういった選抜研修に送り出される方々ですので、3年後、5年後はゼネラルマネージャークラスになる優秀な方々でした。そういった現役の方々といろいろな悩みをお話できたのは非常に有意義でした。
皆さん同じような悩みを抱えていることがわかり、少し前の自分を振り返ることもできて非常に良かったです。

──事務局としては、加藤さんは兄貴的な感じで、非常に引っ張っていただいたと思っています。
この場をお借りしてお礼言わせてください。

そんなつもりは全然なかったです(笑)。

印象に残った講師の話とは?

──本プログラムで扱っているテーマというのが、イノベーションを立ち上げようという気概に満ちているけれども、まだ成果が無くて答えを見つけ出そうと取り組んでいる皆さん向けのものでしたが、ゲスト講師のお話などはいかがでしたか。

ゲスト講師のお話は、気づきを与えてくれる内容でそれぞれ印象に残りました。私はあの後、別の社内研修で(昨年講演いただいた大久保氏)スリーエムさんを訪問する機会がありました。

スリーエムさんの相模原に、フォーラムでご紹介があったカスタマーテクニカルセンターがあり、見学に加えて同社の社員の方々と交流する機会がありました。
その時に「実はフォーラムで大久保さんの話を聞いて、影響を受けたのです」と申し上げました。実際、大久保さんのお話に影響を受けて脳神経科学の本を読みあさっています。

人間は自分が考えているのではなくて、脳に動かされていて、脳の反応をまるで自分のものだと勝手に思い込んでいるんだなというのに気付いてから、いろいろな人の反応を脳ベースに解釈するようになりました。

──心理学などにも興味を持たれたのですか。

そこまではやっていませんが、メンバーと話をするときに、楽しそうな顔や嫌そうな顔をするのを見て、「ああ、彼の脳がああやって反応しているんだな」「今コルチゾールが出ているんだな」と思うようになりました(笑)。私にとっては大久保さんの講義が一番実践的で、大久保さんの本は私にとってバイブルになりましたので、非常に良い出会いでした。

あとはコースリーダーをおつとめいただいた林先生も素晴らしかったですね。

林先生は長く第一線級で化学技術と技術経営をやられてきた方で、いろいろなお客さまや社内メンバーとのやり取りなど、マネージャーとしても上位の役員としてもいろいろご経験を積まれた方です。

こういったセミナーや講義では一般論でくくることが多く、それを自分のものにするためには咀嚼しなければならないのですが、林先生は咀嚼しやすい状態でいろいろコメントをいただけましたので、非常に吸収しやすかったです。本音ベースの生々しい内容も多く、私にとっては非常に良かったです。

また、林先生は講師の方のお話をラップアップしていただいたり、我々の意見や質問に対するサポートやフォローが素晴らしかったです。日本語を日本語訳していただく感じで、我々がしっかり理解できるような言葉や表現を選んでくださった感じがします。常に手触り感のあるシチュエーションをイメージできるようにもお話をしていただけました。
先生のファシリテーション力のお陰で受講メンバーがよくまとまっていたと思います。

最初に実施いただいたイノベーション基礎講義も、駆け足の内容でしたが、フォーラムを進めるうえで抑えておくべきポイントを短時間で分かりやすくまとめられていて、流石だと思いました。

──林先生のまとめるスタイルや議論を喚起する力は素晴らしいですよね。

はい、非常に参考になりました。
林先生が「こういうのは、職場で実践したらいいですよ」とおっしゃったことを、最近会社でよく使っています。議論の前に個人ワークで3分考えてもらってから討議すると活発になりますので、助かっています。

会社からお金を出していただいて受けた私としては、受講していないメンバーに展開するのが役目なので、こういった実践を含め、講師の先生のお話をどんどん伝えています。

──加藤さんが社内のインフルエンサーとなって、学んだことを広めていただいているということですね。

今回のフォーラムはR&Dや技術開発という視点での、研究所や技術開発される方々のリーダーシップが一つの定義だったと思うのですが、私自身の担当は技術開発ではなくビジネス開発でしたので、当初ははまりが悪いかなと心配しました。

しかし、何かイノベーションを起こそうとする時のリーダーシップのあり方というのは、技術にしろビジネスにしろ、講師の皆さんがあの手この手で悩みながら進められてきたことであり、その実践は非常に学びになりました。

皆さん置かれた状況が違うので、その取り組みや考えられたことは違うのが当然ですが、技術・ビジネスに関わらず「そういうふうに考えるんだな」という普遍性を感じることができましたので、ビジネス開発視点に対しても役に立つ内容ばかりでした。
フォーラムのタイトルにもある「リーダーシップ」という言葉が気になったので、ハーバードケネディスクールのハイフェッツ教授の『リーダーシップとは何か!』という書籍で学びました。その学びと講師の方々のご講演を照らすことができたので、大変しっくりきました。ハイフェッツ教授の書籍だけは、十分に理解できなかったと思います。

~1/3~

R&Dイノベーションリーダー交流フォーラム 詳細はこちら

関連記事

  1. R&Dイノベーションリーダー交流フォーラム パナソニック 加…

  2. 第4回 国際ドローンシンポジウム 講演者インタビュー|国立研究開発法人…

  3. 第4回 国際ドローンシンポジウム 講演者インタビュー|デンソー 加藤氏…

  4. 第38回 モータ技術シンポジウム 副委員長インタビュー

  5. 第26回 バッテリー技術シンポジウム 委員長インタビュー

  6. 開発・技術・研究部門における中堅リーダー養成コース 受講者