中堅リーダーに求められるマネジメント | ㈱コンサルティング・フェア・ブレイン代表取締役社長 関根利和氏インタビュー その2

改革のマネジメント

 

森宮
新しいプロジェクトを立ち上げるのは1人でできません。

人を動かさないとできないのに、こういうプロジェクトのマネジメントは不測の事態が毎回、起きるのがほとんどだと思います。

物事を動かすのが難しくなった際、中堅リーダーはどういう役割を負わなければならないのでしょうか。

関根
私はプロジェクトのマネジメントを重要だと考えています。

会社にはもう1つのマネジメントがあります。
維持管理業務、つまりルーチンワークのマネジメントです。

いつも決まった仕事を定められた通りの手順で進め、決められた答えを出していくのが基本で、われわれの周りはこの仕事を通じて組織が成り立っているといってもいいでしょう。
外部環境の変化に合わせて質を上げようとするときは、手直ししています。これが改善です。

ところが、外部環境がもう少し大きく変わってくると、より大きな変化や今までやっていなかったことをしなければならなくなります。こういうのを日本能率協会では改革と呼んでいますよね。改善より重い内容と受け止めてもらえればいいでしょう。

そうすると、維持管理業務で組織が成り立つ中、改善を通り過ぎて改革に近づいてくると、今のメンバーで今の仕事を続けながらそういう新しいことができるかという疑問がわいてきます。

そんなときは、自分の組織以外の人たちも含め、一発勝負の今までにない仕事のやり方をする必要が出てきます。これが非常に重要で、業績の向上にもつながります。それがプロジェクトのマネジメントで、つまり改革のマネジメントになります。

そこで問題になってくるのは、やったことがないことをどうやって進めるか、誰とやっていくかの2点です。うまくやれればマネジメントの質が一段上がります。ただ、そういうやり方をすると、思ってもいないことが次々に発生します。予定外のことだらけでプロジェクトが進みます。

そもそも今までにない仕事は予定できないものでしょう。でも、答えを出さなくてはなりません。私は維持管理業務を毎日の通勤だと考えます。行き先も行き方も決まっているからです。改善になると、行き先は同じでももっと早く行こうとか、もっと楽に行こうとか考えることになります。

これに対し、改革や新規の仕事は初めての場所へ旅行する感じではないでしょうか。行き先が決まっていないし、行ったこともないけれど、どこへ行くかを決めて一発で行ってこないといけません。

そんなにうまくいかないだろうという前提が立つはずです。今までいなかった人と絡むとなると、余計に難しさも増します。

マネジメントはプロジェクトマネジメントになった段階で難易度がぐっと上がるのです。でも、それがないと業績は向上しません。いつもと違うと嘆いていても、新しいことはとてもできないでしょう。

旅行に行けば予測通りに進みませんから、そんなことを嘆いていてもどうにもならないことなのです。要するにメンタルの部分を変えないといけないわけです。

新しいことを始めれば不測の事態が起き、予期せぬトラブルも発生するものだと覚悟しておく必要があります。どこに行ったらいいのか分からないまま、行き先を決めたので仕方なく行っているから、何もかもに疑問がわき上がり、疑問だらけになるのです。

これに耐える力をつけることが新規業務に必要なことです。プロジェクトマネジメントを勉強すると、マインドをいかに強くするかも学ぶことになります。

物事を打開し、制約条件にへこたれない人を作ることに意味があるのではないでしょうか。
技術大国を信奉している人たちは「誰かにいえばやりますよ」とか「良い条件が整えばできますよ」とかいいますが、旧来のものづくりにそういう一面はあっても、新しいものの中にそれはないのです。

だから、新しいことを始めるときに必ずマインドの問題が立ちはだかることを説明しています。

森宮
でもすごいですね、本当にそれは大事だし、中堅だけの課題でないような気もします。

関根
それはおっしゃる通りです。それはマネージャーから共通する課題です。

マネージャーにはぜひ、理解しておいてほしいことです。それがないマネージャーはだめだと思います。でも、経営者は分かっているのではないかと感じます。

 

 

自分で考えて実行する集団でなければ勝負ができない

 

森宮
トップの方々が「何か新しいことをやりたい、やらねば」といい、でも、かけ声だけでは、物事があまり進まないことに気づいていて、組織に問題があるのではないかと悩んでいるケースをよく耳にします。

関根
下から提案が上がってくることもありますが、上の人は自分がテーマを放り込まないと難しいと思っています。ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズも上からテーマを下ろしていましたからね。

それと、ある程度の方向性を入れないと厳しいと感じているでしょう。もし私がどこかの会社のトップになって放り込める材料を持たなかったら、放り込める人の意見を丸呑みしてでもテーマを下ろすと思います。

それで失敗したら「私が考えました」というのが普通でしょう。成功したら部下の手柄です。そのくらいの度量がないとだめですよ。私が下の立場だったら、自分で考えます。

業務テーマはよく、「上が考えてくれない」とか「下が考えられない」とかいって他人事になりがちです。でも、業務テーマは経営者であろうと、中堅であろうとそれぞれのテーマです。

中堅で条件が整備されていないところに来たら、これからどうするのかについて答えられるようにならないと、上に行っても全くだめだと思います。

今日的な仕事のテーマは社会人、仕事人間として自立することだと考えています。
会社で協力するのならちゃんと自立して協力し、誰もいなかったらいないなりにやっていくことが必要です。

条件が整っていればありがたく受け入れ、そうでないとしたら整わせるか、最大限までパフォーマンスを上げるしかないでしょう。

それを自分で考えて実行する集団でなければ、ハイレベルにならないし、勝負できないと思います。

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