良いものを作るためには、集団の力を信じることが大切 | ㈱コンサルティング・フェア・ブレイン代表取締役社長 関根利和氏インタビュー その1

開発技術研究部門と他部門の中堅リーダーの違い

 

森宮
本日は開発技術研究部門における中堅リーダー養成コースの講師を務める関根さんにお話をうかがいます。
このコースは開発技術研究部門の中でリーダーシップスキルなどをテーマにし、最近、受講性が増えています。
関根さんは他の部門の講義をすることもあると思いますが、他の部門と開発技術研究部門で参加者の様子や期待されることなどで違いを感じることがありますか。

関根
まず些末な話になりますが、中堅リーダーとしてやってくる人の年齢層が一般の場合と研究開発分野とではかなり違います。
研究開発部門は年齢が高いのです。

中堅といえば、通常、日本能率協会のセミナーだと、入社後5年から10年ぐらいの人を指します。ところが、研究開発部門では40歳過ぎの方が圧倒的に多くなります。
世の中でいうと、主任、係長、課長代理やマネージャーのちょっと下ぐらいの年代です。管理職の下という位置づけになりましょうか。中堅という言葉と少し乖離していますね。

参加している人はリーダーシップを発揮してほしい幹部社員手前の人たちですから、中堅のつもりで研修に参加するとちょっと違うと思います。

マネジメントレベルでいうと、かなり突っ込んだ話ができ、人間的にもある程度経験豊富なので、物事をよく分かっている人が多いです。ただ、技術屋の方は自分もそうだったのでよく分かりますが、コミュニケーションがあまり上手くありません。暗くて静かなタイプの人が少なくないです。

研修では、他の会社の人と席を同じくしているのですから、お互いに話しても良さそうなのに、こちらが指示するまで話そうとしません。

たまには元気な人もいます。そういう人が1人いると、雰囲気が変わります。
ただ、元気になるまでに時間がかかるのが最近の特徴かもしれませんね。

大きなポイントは集団の力を信じること

 

森宮
ものづくりにかかわる人のスキルアップが必要という声はよく聞きます。

かつては良いものを作り、技術に長けていれば許された時代があったのかもしれませんが、積極的に自分がやっていることを人に説明する姿勢やマナーに欠けるという話しも耳にしています。

その辺りの自覚はどのようにして促していますか。

関根
私ももともと技術畑に身を置いていたので、あまりコミュニケーションに積極的ではないという気持ちはよく分かります。だから、研修でも強要はしないようにしています。

自分のレベルが上がれば仕事の結果が良くなり、それによって物事が打開されていくわけです。だけど、自分1人で良いものができるかというと、そうではありません。

仕事は結局、集団で結果を出すものです。

集団の力を信じるかどうかが、すごく大きなポイントだと思います。

だから、そのことに気づいてもらえるように話を進めているのです。
そのことはある程度の年代になると、分かっているはずです。
でも、そこへ踏み出す勇気がない人もいるでしょう。

私のセミナーのテーマはリーダーシップが中心になっていますが、組織目的のためにどう力を結集するかをもう1つのテーマにしています。
それで、人の力を集めることが大切だということをずっと伝えるようにしてきました。

世の中には何かを伝えたら、人が変わると思っている人がたくさんいますが、そんなことはありません。自分が担当する研修では、研修の最初と最後を比べたら、受講した人が変わっているといわれるように、布石をずっと打ち、いろいろなトレーニングをしながら、学んでもらっているつもりです。

森宮
ご本人たちはそれが必要なことと頭で分かっているのでしょうか。

関根
頭では分かっていると思います。
ただ、それを認めることができるかどうかが難しいところです。
認めたくない人はあれこれとロジックを張ります。

自分で自分を正当化しているわけです。
そんな人になぜそれが大事なのかを直接伝えても、ほとんど届きません。

自分や他の例を示して気づいてもらうしかないわけです。
人に気づきを持ってもらうのは、簡単でないと常に感じています。

すり合わせの技術が組織の壁を超える。

森宮
例えば開発部門だとしたら、他の部門に尋ねて市場のニーズを把握しなければいけませんし、コストを考える必要があります。

コミュニケーションの持つ役割やリーダーシップの重要性は変わってきていると思いますが、どうでしょうか。

関根
変わったのかなと思いますし、昔から変わっていないような感じもします。
どうなのでしょうか。

森宮
説明しても分からないと考えるなど、意識の壁もあるように見えますが。

関根
仕事のスタイルがその人の仕事上の人格を決めてしまいますから、日常的にどんな仕事のさせ方をしているのかは非常に大きい気がします。
上司のいいぐさや口癖は知らず知らずのうちに部下も真似しています。

子供のいうセリフが親のセリフと同じなのといっしょです。これは私が確信していることなのです。

森宮
それについて具体例はありますか。

関根
例えば「やらなきゃいけないことは分かっているのですが、難しいです」といういい方があります。

これは上司を前にして弁解するときのセリフです。
それで「あっちの部門の要求はよく分かるけど、こっち側としては難しい」と使います
組織の壁というのはこういうことではないでしょうか。

その言葉を使うなら、その言葉自体が持つ重要性を分からないといけません。その言葉を使う自分たちが何を思っているのかが、分かっていないといけないわけです。

組織の壁が厚い人たちは自分たちが良い仕事をすれば、あとは他の人たちもそれぞれの分担で仕事をし、結果が出ると単純に考えているのでしょう。

役割分担としてはありだとしても、すり合わせをしなければならない部分や力を借りないといけないことに対する視点を欠いています。
東京大学の藤本先生は日本が得意な部分はすり合わせの技術だといっていますが、この考え方はものすごく大事だと思います。

組織の壁とかいっている場合ではないのですが、他の部署とうまくやり取りができない人がそんなふうにいっていると、その会社の組織の壁が高くなっていきます。

森宮
そうですよね、かなり根が深い問題ですね。

関根
仕事がうまくいかなくなったとき、制約条件があるから難しいので条件を変えようとか前向きに考えていればいいのですが、相手方をずっと批判することは、わりと仕事の場でもよくあるのです。そういうことも研修で端々に出てきます。

グループワークを違う会社間でやってもらうと、何をいつもいっているか、どんな仕事ぶりなのかが、私には大体分かります。その会社の特徴も何となく理解できます。

上司がどんなことを話し、周囲がどう考えているのかが、おおよそつかめるのです。
そういう悪い部分を止めてもらいたいと考えています。そこに力を入れています。

そのために、いろいろな事例を説明しながら、セミナーを進めています。

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